blog ~業の利~

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知っておくと安心!既存宅配業と新興宅配業の違い 徹底解説

 皆さんがご存知の宅急便(宅配便)は、1976年ヤマト運輸小倉昌男氏が当時同社の運輸業収益が低収益であったために、小口荷物をたくさん扱えば収益が上がるという考えから、宅急便開発に取り組み、その要項の基本的な考え方5か条を元に新商品として世に出されたものである。


◇ヤマト運輸 宅急便開発要項 五箇条◇
[1]需要者の立場になってものを考える
[2]永続的・発展的システムとして捉える
[3]他より優れ、かつ均一的なサービスを保つ
[4]不特定多数の荷主または貨物を対象とする
[5]徹底した合理化を図る


 そこから、近年に皆さんの中で定着している宅配便は、クロネコヤマトの宅急便、日本通運のペリカン便、佐川急便の飛脚便、西濃運輸のカンガルー便など、各社の宅配便事業が全戸に広まり、生活の中でいつしか物流インフラとしてなくてはならないものになってきました。しかしながら、バブル崩壊後の景気低迷から事業撤退や縮小により、ヤマト運輸が小口宅配の主流となっています。


 そして、2020年コロナ時世からフードデリバリー業界が新興として大きく拡大。
プロモーションやSNS等で物議がありますが、一気に進行してきました。
そこで、既存の宅配と新興のフードデリバリーの違いを見ていきましょう。


◆配送荷物について◆
<既存の宅配>
・運送会社が貨物運送事業法に基づき約款が組まれている
・荷物サイズ、重さ、距離で運賃が決まっている(各社料金表あり)
・配送荷物の規定があり、配送不可のものがある(危険物など)
・配送物によって、各商品が多様に分類されている
・伝票が必ず使用されている


<新興のフードデリバリー>
・各社利用規約上で車種に応じて規約、軽貨物運送事業法を運用している
・荷物のサイズ定義がない、タクシーのような料金体系を用いている
・基本的に食べ物であるが、食料品等も含まれている
・伝票代わりにオーダー番号が運用されている


 普段から慣れている宅配荷物は、伝票によって管理がされています。この伝票(デジタル伝票=一枚シール貼りタイプ、複写式伝票=手書きの旧式)は、宅配依頼の契約があわせっているものになり、伝票と依頼1件に対して必ず一対になっています。複数小口の場合は、伝票に枝番が取られます。
伝票を一つの契約として考えていただくとわかりやすいのですが、依頼主が届け先を記入し運送会社に依頼、そうすると運送会社が料金徴収をし、受諾印を押して控えを渡す。配送物が届け先受取人が受け取ると、その際に皆さんがご存知の通り「宅急便です!ハンコください!」で受取印をもらい到着原票として配達完了記録が残るという流れになります。
 新興のフードデリバリーでは、アプリ上での注文者、注文受注店、配達希望個人事業主がアプリのプラットホーム上でマッチングまたは配車される形で受注配達が行われており、そこには伝票というものは存在せず、システム上でのデータ管理で配送が行われているという形になります。なので、当然のことながらシステム障害やバグなどで、配送が滞る事象は発生しうるということになります。



◆配達員について◆
<既存の宅配>
・正規雇用
・パート・アルバイト
・派遣
・委託請負


<新興のフードデリバリー>
・基本ベースが委託請負の形になっており、個人事業主、ギグワーカーが気軽に参入できる


 既存の宅配は、ほぼ運送会社の商品として運用されています。そこから当然のことながらその商品を取り扱う運送会社に属する配達員が配送を行っています。
逆に新興のフードデリバリーは、在留就業許可者も含む誰しもが気軽に参入が出来て、ギグワークに向いたフレキシブルな稼働が魅力となっており、参入者が多いのが実情です。
当然のことながら、運送会社は企業であって、今日までのデータ情報が蓄積されており、配送に対してのフォローアップができる体制である、一方、新興のフードデリバリーでは、誰しもが参入できるために知識不足、経験不足からSNSなどメディアで取り上げられるような事案が発生してしまうのが実情だと思います。



◆宅配精度について◆
<既存の宅配>
・各社基幹システムによりデータベースあり
・ゼンリン住宅地図を用いている


<新興のフードデリバリー>
・各社アプリでの運用
・連動地図アプリを用いている


 上記にもあるように運送会社には企業としての実績があり、さらには経費をかけてその精度を底上げしていく営業努力があります。そのため、センター、営業所などの中継点から管轄エリアの細分化を図り、担当シフト制を用いています。
ここでの大きな差は、新興のフードデリバリーは地図アプリなどを連携しており、情報としての制度が位置のみ、良くてランドマーク登録されている建物名までとなっている。さらにその配達範囲は、運送会社のエリアに対してかなりの広域になります。
 さらには、ゼンリン住宅地図というものが大きく情報として差をつける起因になっています。ゼンリン住宅地図とは、ゼンリン社の発行している地図サービスになり、全国のほぼすべての建物、集合住宅、個人宅の表札名が乗っている地図になります。(定期的に改訂)
 既存の運送会社のエリア担当ごとに原本の写しが配備されており、そのためどこにどのお宅があるのか確認することが出来ます。しかしながら、個人の場合であると有料サービスなので経費かかることから利用がされていないのが実情で、その配達の精度とフードデリバリーのプラットホーム精度が上がらないと、品質向上が難しいのが現状ではないでしょうか。



 これらのことから、玄人と素人の差があり、利用する側も注意をしなければならない背景がある。宅急便は、運送会社の商品であって、フードデリバリーは単なる配送の業務委託という違いから、既存と新興のギャップが今までの当たり前の考え方や感覚に相違を生んでいるのではないかと思います。